船舶のバッテリー上がり防止!点検と予備バッテリーの選び方を解説

海上で船のバッテリー上がりが起こると、エンジンが始動できず航行できなくなります。救援までに時間がかかることから、座礁や転覆などの事故リスクが高まります。こうしたリスクを防ぐため、この記事ではバッテリーメーカーのエナジーウィズが、船舶特有のバッテリー上がりの原因や、出航前に行うべき点検ポイントをお伝えします。また、安全運航のために準備するべき予備バッテリーの選び方まで、メーカーの視点で解説します。
船で起きやすいトラブルとリスク
海の上でエンジンの始動不良や計器のダウンが起きると、自動車の故障とは比較にならないほど深刻な事態を招くおそれがあります。自力で動けずにトラブル時に救助が到着するまでの間にも、潮の流れや風に翻弄され、岩場への座礁や、波を受けることによる転覆といった、命に関わる二次災害へと発展するリスクがあります。
では、バッテリー上がりを防ぐためにはどうすればよいでしょうか。まずは、船舶で発生するバッテリー上がりの主な原因を確認していきます。
船舶で発生するバッテリー上がりの原因
1.エンジンを止めたまま船内の電子機器を使用(魚群探知機、GPSレーダー、電動リール、航海灯など)
2.バッテリーの老朽化
3.バッテリーの液量不足、ターミナル腐食(接触不良)
トラブル防止の為、エンジン停止したままの電子機器の使用には注意が必要です。また、バッテリーの老朽化や液量不足・ターミナル腐食によるバッテリー上がりは、出航前にこまめに点検することや、補充電、予備バッテリーの整備によって対策することができます。
船舶特有の「過酷な環境」が原因に
また、船内環境がバッテリーに対して与える影響を知ることも重要です。
湿気・塩害 端子が腐食(白サビや緑青)しやすく、接触不良の原因になります。
激しい振動 航行中の衝撃で、バッテリーの固定が緩んだり、内部極板が損傷したりします。
待機電流による放電 係留中(停泊中)であっても、魚探やGPS、無線のバックアップなどで少しずつ電力が消費されます。
出航前の点検ポイントと充電・保管や塩害対策
それでは、出航前に行うべきバッテリー点検のポイントと、航海中や日ごろからのバッテリー上がり対策についてお伝えします。
出航前のバッテリー点検ポイント
①電圧チェック・電解液比重チェック
無負荷の端子電圧が12.5V以上あることをテスターで確認し、これより低い場合は充電してください。
また、比重計で電解液の比重を測定することで、概ねの放電量やセル間のばらつきによる劣化状態を把握できるため、併せての確認を推奨しています。

②電解液量チェックと補水
電解液がバッテリー液面線間の中間以上に入っていることを確認し、不足していたら補水してください。なお最高液面線以上にすると液があふれ、機器の損傷や火災の原因となりますので、注意してください。最低液面線以下で使用すると バッテリー内部の劣化が進み、バッテリーの寿命を縮めるばかりでなく爆発の原因となります。
③端子のチェック
端子を確認し、腐食している場合にはワイヤーブラシ等で腐食を取り除いてください。
また、ケーブル端子にゆるみが無く、バッテリーがしっかり固定されていることを確認してください。ネジを締めきる直前はゆっくり慎重に行いましょう。グリース等の防錆油を塗る場合、絶縁性のものが多いため、ターミナル取付け後、上から塗ってください。

係留中の補充電と保管時の対策
係留中はメンテナンス(トリクル)充電器を活用しながら、充電状態を維持することができます。充電中は換気を確保し、火気厳禁。高温・直射も回避しましょう。
操業しない日が続く際には、マイナス端子を外すなどして、待機電流を遮断しておきましょう。(装備の記憶消失に注意)
塩霧環境では端子カバーや防錆剤を使うほか、定期的に清掃するなどして腐食を抑えましょう。
予備バッテリーは必須! 選び方のポイントは?
点検も適切に行ったうえで、「もしも」のために備えておくことが重要です。
船内には、バックアップとなる予備のバッテリーを搭載し、切替運用ができるようにしておきましょう。走行中に予備バッテリーを充電しておけば、想定外の故障や過放電、端子不良などのトラブル時にも安全を確保することができます。特に、単独行や夜間、沖合までの運航時には安全確保のため、船舶にバッテリーを予備へ切替えるシステムがあると安心です。
また、予備バッテリーも定期的にメンテナンス充電や電圧・内部抵抗の点検を行いましょう。
バッテリー選びのポイント
■始動性能(CCA)
CCA(コールド・クランキング・アンペア)バッテリーが、低温時にエンジンをどれだけ強くスタートできるかを示します。
■耐振動・耐腐食構造
激しい揺れや塩害に耐えられる「船舶用設計」や、極版の間にガラスマットをはさみ衝撃・振動に強いバッテリーを選ぶことなどが、結果としてコストパフォーマンスと安全性を両立させます。
■容量設計
必要容量は「消費電流(A)×使用時間(h)=Ah」で概算し、余裕を持って選ぶことが大切です。夜間航行や低温下での運航が検討される場合は、余裕幅を大きめにしましょう。
※魚群探知機など大きな電力を使用する用途でバッテリーをお探しの際には、始動用バッテリーに加えて電装用のバッテリーをご購入ください。深い放電と充電の繰り返しに強いディープサイクル適性のバッテリーがオススメです。
まとめ
船舶のバッテリーは、救援困難・塩害・振動・待機電流という厳しい条件にさらされています。出航前チェック、係留中のメンテナンス充電、端子防錆と確実な固定、予備バッテリーと切替運用を習慣化しましょう。エンジン始動用と電装用で役割を分け、用途に合うモデル(ディープサイクル・耐振動)を選ぶと安心です。
過酷な海上環境に耐えるには、高い耐久性と始動性能を持つバッテリー選びが不可欠です。エナジーウィズの船舶用バッテリー(始動用バッテリー)は、長年培った技術でプロの漁業者様や、寒冷地域の漁連様からも厚い信頼をいただいております。また、エンジン始動用バッテリー「Tuflong HG」シリーズは、船舶用途でも多数の実績があります。

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